The President

経営者インタビュー

株式会社Fusic 代表取締役社長

納富 貞嘉

ソフトウェアの開発やクラウドインフラの構築から今話題のAIやIoTなど、様々なIT事業を手がける株式会社Fusic。大学院時代に友人と立ち上げた会社は今や50人近くの社員を抱え、福岡を代表するIT企業となった。IT分野において様々な先進技術に取り組む株式会社Fusicをのぞいてみよう。

Q.納富さん自身のキャリアを教えてください

A.過度な安定志向が嫌いだったので最終的に起業した過去

高校生のとき、実は宇宙に関する研究者になりたかったんです。ただ、学力が足らずにそこは諦めました。そんな中「これからはインターネットの時代」というのをテレビで聞いて、情報系の学科を選択しました。選択したときは、あまり深いことは考えてなかったけども、変化の激しく新しい分野であることに面白味を感じ、大学院に進学しました。周りは皆、大企業に就職していきました。私自身、就職活動もしましたが、普通の社会人にはなりたくなかったし、過度な安定志向に疑問も抱いていたので、最終的に同じような志向を持っていた友人の浜崎(現・取締役副社長)と起業しました。最初は2人だけでガムシャラに働いていましたが、続けていくうちに仲間や仕事も増えていって、今では50人近くの社員とともに様々な事業に取り組んでいます。

Q.福岡でやる意味、メリットはどこにありますか?

A.①環境の良さ②福岡を優秀な若者で盛り上げたい

福岡でやる意味は大きく2つあります。1つは、福岡の環境の良さですね。特に、僕たちがやっているIT事業は場所を選ばないので、必ずしも東京でやる必要はない。もう1つは、福岡を優秀な若者で盛り上げたいという思いがあります。多くの優秀な若者が進学で東京に行ったり、就職で東京に行ったりという風潮はあまり面白くない。その中には、「本当は福岡に居たい」と思っている人たちも少なくない。そのような人たちにとってFusicが受け皿になることができれば嬉しいし、そういった企業が増えれば、もっと地方は、そして日本は良くなると思っています。
私自身、そして社員も東京に出張に行く機会は多いですが、必要であればその都度行けばいい。もちろんビジネスという観点でいうと東京はとても効率的な街です。一方で、東京でOne of Themになるよりもここ福岡でやることの方がやりがいと喜びが大きいように感じます。学生時代、東京での就職活動で感じた「俺である必要性は無い」という感覚はずっとあります。

Q.海外に進出するとき、心がけていることや大事にしていることはありますか?

A.海外はチャレンジしてみるしかない

正直、海外はチャレンジしてみるしかないというのが本音です。IoTのサービスやクラウドサービスは海外でもやろうとしてはいますが、まだ成果が上がっていないのが現状です。もちろん今後もチャレンジし続けます。社内においても韓国人エンジニアが何名も活躍していますし、韓国に限らず海外人材は今後も採用し続けたいと思っています。多様性のある組織の方が変化に強いと思っているのと、海外での展開においても彼らが大いに活躍するタイミングがあると思っているからです。
現状、ITという分野で俯瞰してみると、日本のプレゼンスはかなり低い。ただ、IoTなどはまさに製造業と密接に関わっているわけで、日本で実績を作って海外に展開するのは可能性としては大いにあると思います。

Q.Fusicではどんな人材を必要としていますか、またどんな人材がマッチすると思いますか?

A.採用はどういう能力があるのかという軸と社風にマッチするかの軸で考える

採用するときには、どういう能力があるのかという軸と、社風にマッチするかの軸の2つで考えています。能力に関しては、もちろん地頭の良さなどを見ていますが、好奇心があることはとても重要視しています。ITは日進月歩で進展が早く、ひと昔前の技術はすぐに古くなる。そのため、仕事だからと割り切って学び続けるのは、けっこう辛い。面白いから、知りたいから学び続けるという姿勢がベストだと思うし、結果として、そういう人にはなかなか勝てないですよね。そして、多くの採用に関わって来ましたが、好奇心は後から醸成するのは難しいと感じているので、採用段階で見極めるようにしています。

Q.納富さんの信念は何ですか?

A.人生は短い

変化の最前線で色々仕事をやっていくのがオススメ

人生は短い、ですかね(笑)今も雑誌のNEWTONを定期購読していますが、宇宙が好きなせいか、文字通り天文学的な時間と空間の概念で考えることがあります。宇宙誕生から今までの138億年の歴史を考えたとき、138億年の時間を仮に1年(1/1〜12/31)と捉えると、人類が誕生したのは12月31日の21:30くらい。そして僕たちが生きる80年の人生なんてのは宇宙の歴史を1年と考えると、1秒にも満たないんです。だから何?と感じる人もいると思いますが、私の場合は、だからこそ人生楽しみましょう、どんな困難や問題も宇宙や地球の歴史に比べたら、ちっぽけなものに思えてきます。
せっかく、生きている時間の多くを仕事に使うのであれば、今の世の中、ITなどの変化が激しい面白いところで勝負するのがいいんじゃないかなと思っています。100年後の歴史の教科書があれば、今の時代は間違いなく「IT革命期」と表されるでしょう。僕自身、仕事自体楽しむことが大切だと思うし、Fusicで働くメンバーに対しても、そういう環境を作っているつもりです。

就活生・転職活動中の方に一言お願いします!

この変化が激しい時代、安定しているからという理由で会社を選ぶのは一番危険だと思います。なぜならば、そういった安定志向の人たちが集まる会社が10年後にどうなるかというと、決して安定していないと思うから。よく新聞などで、就活生の人気企業ランキングの理由に「安定してそうだから」という理由がありますが、経営陣は危機感を覚えているんじゃないかと思います。

私が学生時代に戻って就職活動をするとしたら、若い内から仕事を任せられること、そして支店や子会社ではなく本社で働くことを条件にすると思います。前者に関しては、ベンチャーは期せずして、そうなることが多いです。なぜなら人が常に足りないから若い人たちにも大きな責任を負ってもらうしかない。後者に関しては、やはり意志決定は本社・本体で行われるわけで、そのプロセスを感じること、そこに関わることはとても重要だと思います。

のうとみ さだよし

1978年、福岡市生まれ。九州大学工学部・大学院システム情報科学府修了。2002年、大学院在学中に友人である浜崎陽一郎(現・取締役副社長)とともにシステム開発事業で起業する。2003年、法人化に伴い、株式会社Fusicを設立。2017年、世界的起業家組織「EO」の福岡チャプター「EO Fukuoka」を立ち上げ、初代会長を務めた。同年、福岡県ベンチャービジネス支援協議会が表彰する「フクオカベンチャーマーケット大賞」を受賞。

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