The President

経営者インタビュー

ミナミホールディングス株式会社
代表取締役社長

江上 喜朗

日本一尖った教習所だ、と誰もが口を揃えていう会社が福岡にある。世の中から交通事故をなくしたい。その想いから、教習用アニメ「DON!DON!ドライブ」の制作、海外への事業展開など様々な改革を行ってきたミナミホールディングス株式会社。社員の長所を活かしながら、父から受け継いだ南福岡自動車学校の改革を進めてきた江上社長のこれまでとこれからに迫りたい。

まさかのかめライダーでの登場!(笑)南福岡自動車学校のイメージキャラクターがかめライダーなんですよね?

昔から会社のイメージキャラクターはカメでした。南福岡自動車学校は1956年に僕の祖父が創業し、その後1960年に大野城市に移転しました。2代目の父から受け継いだのは2011年、僕が30歳の時でした。しかし、人口増加の時代とは違って、教習所としての経営はとても大変でした。このままだと、少子化と若者の車離れ、自動運転などでますます教習所の生徒数は減っていくと感じ、改革が必要だと決心しました。そういうわけで、全社員の前で経営方針を共有し、改革のシンボルとしてかめライダーに変身しました。かめライダーに変身した当初は批判もありましたし、会社の経営を引き渡した父も心配だったと思います。会社受け渡した息子が着ぐるみきて「幸あれ、幸あれ」って言っているわけですからね(笑)

Q.お父様から会社を引き継いだということですが、新しいことに挑戦し続けるのはなぜですか?

A.どうやって自動車学校として生きていくかという危機感があるから

自動車学校の業界はこのままだとどんどん右肩下がりになってしまいます。ここ20年で教習所は4割減っていて、もう少しすると半分減りそうな状態です。こういう状況の中でどうやって教習所として生きていくかという危機感があるから新しいことに挑戦し続けるんだと思います。例えば、海外へ教習所の事業を展開したり、教習用アニメ「DON!DON!ドライブ」を作っています。「DON!DON!ドライブ」はオリジナルキャラを作ったり、ホリエモンこと堀江貴文氏を顧問としてアドバイスをもらったり、福岡のアニメ制作会社Forest Hunting One社と一緒に2年半の月日をかけて作り上げました。
僕はよく、”生きているとは何か”を考えていますが、呼吸していたり、脈拍が動いていることが生きていることだとは思っていません。そのことしか考えないくらい情熱を注いで、それをやっているのが楽しくてたまらない、寝食を忘れてしまうような状態。それを大好きな仲間たちとやっている状態。”生きている”ということはこのような状態なのかなと考えています。僕はそんな生き方をしたいし、少なくとも会社の社員たちにはそうなってもらいたいと考えています。具体的には、海外へ事業展開したいという社員にはベトナムやウガンダなど現地へ派遣して社長を担当させたり、入社3年目の社員にYoutube事業を担当させたり。社員がやりたい、向いてるな、と思うことがあったらわざわざその人のために部署や子会社を作っています。

Q.そういう考え方の原体験はありますか?

A.「どうしたらいいか、じゃなくてお前は、どうしたいの??」と問われ続けた前職

前職はリクルートグループのネクスウェイという会社でしたが、とにかく「どうしたらいいか、じゃなくてお前は、どうしたいの??」と言われる会社でした。もちろん外部から瞬間的にやる気を作ることはできますが、継続的なベースとなるやる気を作ることはできません。やる気は内側から生まれるものです。ただし、やる気を阻害する要因は世の中にとてもたくさんあります。それを取り除いてあげることが大事です。そんなことはしないでいい、これだけやっておけばいいと上司はいいがちですが、それによって人の種火は減ってしまいます。もともとあるその人の種火を消さない、出る杭を引っこ抜いてでも伸ばすことが重要です。

Q.ミナミホールディングスでは具体的にどんな改革をしましたか?

A.改革するにはただメンタルだけが必要

改革しようとした当初はいろんな批判がありました。古い業界の会社なので、入社2、30年の社員もいて、そういう社員の方は上から言われたものをそつなくこなすことこそが仕事だと考えていて、コミュニケーションをとってもその考え方は変わりませんでした。最終的には、改革の途中で約半分の社員がやめてしまったんです。でも、やるべきことははっきりとしていて、改革するにはただメンタルだけが必要で、批判は批判でつらかったですが、断行しました。

Q.海外進出についてはどう考えてますか?

A.交通事故のない社会を作っていきたい

特に南福岡自動車学校を改革してきたノウハウがアジアやアフリカには必要

南福岡自動車学校を改革してきたノウハウを活かして国内や海外に進出し、交通事故のない社会を作っていきたいと考えています。特にそのノウハウが必要なところとしてアジアやアフリカがあります。現在は、具体的にはカンボジアとウガンダに日本から社員を送り込んで現地の社長にしています。日本では、現在の指定教習所の制度ができたのが60年以上前です。まさに今、特に東南アジアやアフリカは日本の60年前くらいの状態で、やっと法律ができてこれからハードの面が強化されていくという状況です。免許取得率も5〜10%で、18歳人口がどんどん増えていっているので、チャンスしかありません。免許取得に日本は30万円、アジアの途上国は2〜3万円と単価は低いですが、将来のために張っておくのは間違いないと思います。これからも進出したい国があれば進出しようと考えています。

Q.どんな人材を求めていますか?また、どんな人材が会社にマッチしていますか?

A.新規事業を創っていける人材

とにかく何かに熱中している人や伸るか反るかの状況に身をおいて自分を試したい人

新規事業を創っていける人材を求めています。それには、とにかく何かに熱中している人や伸るか反るかの状況に身をおいて自分を試したい、気がついたら自分の好きなことにのめり込んでしまう、という人が向いています。鋭角で生きている、尖った人材が欲しいです。僕の常識とか予想を超えてくる人材です。人の才能は、教育や会社によって蓋をされがちだと思います。しかし、人は長所の方が伸びます。その長所をどんどん伸ばしていくことが自分の希少価値になっていくので、ミナミホールディングスではその長所をどんどん吸い上げたいと思っています。

Q.江上さんの信念を教えてください

A.新しいものを注入して変えていく、古い会社や業界を変身させていきたい

その方法は一つ。「最先端のもの」と「目の前の現実」を接続させること

今、世の中ではいろんな新しいものが次から次へと生まれています。しかし、教習所業界は化石と化した古い業界で、そのような業界は他にもたくさんあります。そういった古い業界に従事する人は労働人口の7割です。その化石化したローカル産業を変えていかない限り、日本はよくなりません。その一人当たりの労働生産性をあげていくのが大事で、それこそが「働き方改革」です。法律で縛ることが本質ではありません。。本質的な働き方改革をして、労働生産性をあげて日本を変えていきたいです。その方法は一つ。「最先端のもの」と「目の前の現実」を接続させることです。最先端の技術やクリエイティブに強い人、ローカル産業に強い人はそれぞれいますが、両方ある程度わかっている立場の人は多くありません。ローカル産業の当事者として最先端のテクノロジーやクリエイティブを学び、それらを接続させることで社会を変えていきたいと思っています。。このようなローカル産業を引き継いだので、そこの領域に新しいものを注入して変えていく、古い会社や業界を変身させていきたいです。

就活生や転職活動中の方に一言お願いします!

自分の好きなことを見つけて、それに熱狂してください。自分の全リソースをつぎ込んで熱中できるものを持ってください。変に大人になってはダメです。大人の言うことを聞いてはダメです。尖ってください。鋭角に生きてください。変に社会に適合するのではなく、自分の得意なことや大好きなことを見つけて、そこに自分を適させるようなやり方をした方がいいと思います。生きることと死んでないことは違います。生きろ!毎日毎日種火に火をくべて増幅させて燃やし続ける人生を歩み続けることが大事です。

えがみ よしろう

「30歳の若さで同社代表取締役社長に就任、自動車学校事業を改革。3年で社員100中50人退職するも、80名採用し売上げV字回復。現在は全国の教習所向けサービス開発や海外展開などを行うミナミホールディングスの代表取締役。また「変身活動家」として、全身タイツ姿のヒーロー「かめライダー」になり年間30回以上の講演を行う。
著書 「スーツを脱げ、タイツを着ろ!」(ダイヤモンド社 http://amzn.to/2qoM5oO )」

http://egamiyoshiro.com
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